2009年4月8日水曜日

財産


 ハンス・セリエというオーストリア生まれの医者がいます。
 ストレス、ストレス症候群という言葉はセリエが作ったものです。
 この人はウイーン生まれで、お父さんはオーストリアの貴族でした。
 しかし第一次世界大戦が起こってオーストリア・ハンガリー帝国が分解してしまいます。
 今の小さなオーストリアになってしまった。
 セリエのお父さんは、先祖代々持っていた財産を失いました。
 亡くなるときに息子に言った言葉が、「財産というのは自分の身についたものだけだ」です。
 それはお金でもないし、先祖代々の土地でもない。戦争があればなくなってしまう。
 しかし、もし財産というものがあるとしたら、それはお墓に持っていけるものだ、と。
    <養老孟司、かけがえのないもの>
〝意識を持つ存在の財産は《記憶》のみなのかもしれない。しかもそれは時間に《風化》してしまっている。なんと儚いことか。さて、そうすると、意識を持たない存在は財産と呼びうるものを持つことはないのか。財産とは何ゆえにかくまで意識を持つ存在にまとわりつくのか。〟

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