2010年12月1日水曜日

生をつつむ桎梏の線


 去年の夏、君がミレーの大きな木版画「羊飼いの女」を持っていた時、ぼくは思った。
 たった一本の線でなんと多くのことができるものかと。
    ≪フィンセント・ファン・ゴッホ、弟テオへの手紙≫

〝最高の線を描ける人はピカソと想う。しかし線の技術のみでは、無論、その境地に辿りつけない。線は楽器、線は臨界、線は思念、線はあらゆる生をつつむ桎梏。大事なことは、技術の痕跡を消し去り、そのうえで“生をつつむ桎梏の線”を感得し描き切ることだ。生をつつむ桎梏の線は、その背後に流れるものを胎蔵し、その流れはダイナミズムの運動をひき起こす。それこそが、ピカソの線であり、ゴッホが流浪して求めた線であると想う〟

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