2008年6月30日月曜日

インプレション


 年月が人の心に作る美というものがある。
 たとえば、今でも走る '60年代の車。
 時のみが作る不思議なインプレション。
〝K95S11〟 

2008年6月29日日曜日

見捨てられる


 よく考えてみますと、私たちは人を見捨てて行くのではなく、実は私たち自身、見捨てられたと言ったほうがよろしいかと存じます。
    <ボッカチオ、デカメロン>
〝時間に、歴史に見捨てられる。あなたも〟

2008年6月28日土曜日

うつし世


 Sic transit gloria mundi.
 うつし世の栄光は、かくて過ぎ去る
    <ラテンの諺>
〝結末のない話、チェーホフ〟

2008年6月27日金曜日

戦争


 友よ、もし君がこちら側に住んでいるとしたら僕は人殺しになるだろうし、
 君をこんな風に殺すのは正しくないだろう。
 だが、君は向こう側に住んでいる以上、僕は勇士でありこれが正しいことなのだ。
    <パスカル、パンセ>
〝そう単純なことではない、人はなぜモラル意識を持ったか〟

2008年6月24日火曜日

柔和


 柔和であることは、時を得ておれば美しい。
 だが、ときならぬ柔和は醜だ。
    <ヘルダーリン、ヒューペリオン>
〝戦闘モード?自らに対してならばいいが〟

2008年6月23日月曜日

人生の木


 ヤルキという木と、
 コンキという木をつぎ木して、
 毎日、ナニクソというこやしを一所懸命かけていると、
 立派な人生の木が育ちます。
 〝もうそう竹にならぬよう気をつけてください〟

 

2008年6月22日日曜日

答案


 エッセイ問題の答案は、すべからく、「CIRFAC」の順序で書くべし。
 すなわち、コンクルージョンの C、
 イッシューの I、
 ルールの R、
 ファクトの F、
 アーギュメントの A、
 再びコンクルージョンの C である。
〝みずから背負う人生への良き答案もである。書かずに了えないように〟

2008年6月21日土曜日

人間


アテナイ人のために最良の法律を作ったかと訊かれた時に、「人びとが受け容れる法律のうちで最良のものを作った」と答えた。
    <アテナイのソロン>
〝人は法律よりもはるかに注目に値する〟

2008年6月20日金曜日

遠近法


 もともと日本画には、日と月を、桜とモミジを同一画面に置いておかしくないとする美意識がある。
 風や気配すらも絵にできる。
 現代絵画を窮屈にしたのは、西欧の遠近法じゃないですか。
    <加山又造>
〝遠近法だらけの世界観が人を矮小化したのだろう〟

2008年6月19日木曜日

樹の葉


 樹の葉が降る
 樹の葉が降る
 遠いところから降ってくるように、
 空の中で遠い庭が幾つも凋んでゆくかのように、
 樹の葉が降る
 否む身ぶりをしながら降る
    <ライナー・マリア・リルケ>
〝否む身ぶりをしながらわたしも降る〟

2008年6月18日水曜日

地球


 世界全体は、一の全生命であって、単なる機構ではない。
 地球もまた、全体として一つの生命である。地球の肉はその土であり、地球の骨は、その岩石の層であり、地球の血は、水脈の中の水である。
 海の満潮と干潮とは、地球の呼吸であり、地球の体温はその火に由来する。
 地球の生の座は灼熱であり、それは鉱泉や硫黄坑や火山の中に流出するものである。
    <カール・ヤスパース>
〝人間は表皮についた・・・である〟

2008年6月17日火曜日

装い


 ほかの動物たちが頭をたれて、いつも目を地上にそそいでいるのに反して、人間は上に向けられた高貴な顔をもち、その瞳を星辰のかなたに向けることを許された。
 まだ形もない土くれであった大地は、転身によって、それまで知られていなかった人間という装いを身につけることになった。
    <転身物語・オウィディウス>
〝大地が次なる装いを身に着けたくうごめいている〟

2008年6月16日月曜日

意味


 意味は事物によって暗示されるとはいえ、事物のうちにはない。
 即ち、事物のうちに意味を見るのは精神であり、精神は、その姿勢に応じて事物のうちに異なった意味を見る。
    <ちくま・哲学>
〝分からぬか。精神はなぜ意味を見る必要があるのか?〟

2008年6月15日日曜日

テーマ


 曽って持ち合わせていたものが、自分には見えなかった。
 それが、今になりよく見える。
 天空に見凝めながら、取り戻そうとする。
 取り戻せない事など、はなから分かっている。
 しかし、それほど遠くない処、ほんの10m、15mの天空の高み、
 そこに浮かんでいるのが見える。
 手を伸ばし、届きそうで、届かない。
 近寄ってくる感じさえある。
 空しく手が空を切る。

 雨の日は殊更、それが見える。
 雨に打たれ、静かに、ほんの少し高みから下方に降りて来る。
 私は、わずか10m、15m位の地表にいて、
 手に取ってみたくて、取れなく、苛立たしく、
 哀切に、懐かしく、かなしく、
 ひとり佇み見入っている。
 雨に濡れ、殊更に、それが悲しい。
〝K90au4〟 

2008年6月14日土曜日

ラファエロ


 レオナルドの描く肖像画のあとでラファエロ(バルダッサーレ・カスチリオーネの肖像)に目を移すと、最初は緊張感の欠けた描き方に魅力が感じられない。
 レオナルドの持つ、謎めいた深遠という言葉が使いたくなるような秘めやかさが無い。
 しかし、ゆっくりと両者を比べて視線を往復させていると、ラファエロからは、清澄な空気が漂って来るのが分かる。
〝天才に特有の心の目が通過する内的器官の相違、凡才無縁〟

2008年6月13日金曜日

人間の取り分


 あなたの探していらっしゃるものは、見つけ出すことのできないものですわ、ギルガメシュよ。だって、神様が人間をお作りになった時、人間の取り分として死を下さったのですから。
 生命の方は、ご自分たちのために取っておおきになったのですわ。
 ですから、人間の分け前だけをお楽しみなさいませ。
 食べたり飲んだりして、幸福にお暮らしになることですわ。
 そのためにこそ、お生まれになったのじゃありませんか。
    <古代バビロニアの物語>
〝人間の取り分、いつでもどこでも芽生える苦悩の種子〟

2008年6月12日木曜日

ヨーゼフ・K


 会社員の名前は、ヨーゼフ・K。シェアソン・リーマン・ハットンのVP。年齢37歳。家族はユダヤ系の妻と子供(男)一人。妻は保険会社勤務。
 ヨーゼフは、企業アカウント担当。クライアントは、国際投資機関。
 ヨーゼフは、各種経済情報を、WSJ・Investment Journal等から仕入れる。
 朝は7時に出社。資料、政治、経済をたんねんに拾い読み、自分の考えを9時迄に構築する。
 こうして、その日一日、どういう質問が上司から来ようと、どういうマーケット展開になろうと、全く動じない体制を作りあげる。
 住居は、マンハッタン57丁目。5番街のコンドミニアム。3Bedroom。窓からは、高層階のベランダに植樹した木々が潤いを与えて見える。
 ヨーゼフ・Kは、もともとは、QueensのFlushingに住居を持っていたが、自分の仕事が成功するにつれ年俸はあがり、今の住居に移ってきたのだ。
〝K90ma30。その後のヨーゼフ・Kはどうした!?〟

2008年6月11日水曜日

迂回路


 人生において、最初から結果は見えているのだ。それは “死” 。
 殆どの生命体は、しかしその結果を知らずに、ただ畏怖のうちに生きているのだろう。
 だが、人間は違う。人間は、最初から結果を知っているのだ。
 そして、人間は・・・、どうしているのだろう?
 足掻いて、極力、迂回路を通って、人生を事実以上に長いものに見せようとしている。
 しかし、年齢を重ねるにつれて、そうした化粧の魔術も効かなくなる。
 正面から、来るべき死を見据えざるを得なくなる。
 その時、あなたは、何を求めるのか?
〝K96ja5〟

2008年6月10日火曜日

認識


 認識とは勝手な写像ではない。
 そうではなくて、認識とは精神によって見られたものの対象化である。
    <カール・ヤスパース>
〝人は対象化を果たすことによって時間から逃亡した。おのれ固有の時間から乖離した。〟

2008年6月9日月曜日


 数は感覚的事物の本質であり、本来の意味での実在であり、同時に、事物の素材であり、本性である。
 つまり、事物は数を模倣することによって成立している。
 ピュタゴラス派の人々は、存在するものは数を模倣することによって、“ そのようなものとして ” 存在する、としている。
〝現代科学の目から見ても、宇宙はどうやら規則正しい数の世界から構成されているようである。いかなる意図をもって?と問わざるをえない〟    

2008年6月8日日曜日

先入見


 あらゆる道徳、習慣は、異邦人の目から見れば「先入見」、すなわち、起こり、また起こらねばならぬ事柄について、かれがそこに到着する以前に下された「判決」、である。
    <ギュンター・アンダース、カフカについて>
〝何を騒いでいるのだろう。君は人間なのだよ〟

2008年6月7日土曜日

魂をゆさぶる絵


 私のような女は絵画については、なんの知識もありませんが、あの人の絵だけは判ります。
 いえ、判るのではなく、心が、魂が揺さぶられる感じがするのです。
 無学な私は、それが何故かと説明することができません。
 「絵はね、シーン。生きている喜び、生きる嬉しさを描くものなんだよ」
 と教えてくれたことがあります。

 ですから、フィンセント・ファン・ゴッホの絵はどれも、明るかろうが、暗かろうが、みな
 “死にたくないよ” “生きていたいよ” と大声で叫んでいる絵ばかりのように思います。
     <クラシーナ・マリア・ホールニック>
〝生かしてあげたかった。それにしても魂とは何者で、何ゆえに存在するのか〟

2008年6月6日金曜日

泉のような人生


 人生が泉のように、汲めば汲むほどに深く、冷たく、悲しいものであることを、人は次第に知っていくのである。
    <福永武彦>
〝主観主義に酔うか酔わされないかだろう〟

2008年6月5日木曜日

生の様相


 先進国とされている諸国では、人生は、家のドアと窓と壁の内側で進行する。
 途上国とされている諸国では、生の様相のおびただしくが路上でつぶさに目撃できる。
 苦、労、病、愉、笑、飢、哀、訴、諦、死。
 まざまざと目撃できる。
    <開高健>
〝そこにある真理の諸相、目を常に現実に〟

2008年6月4日水曜日

ライナー・マリア・リルケ


 リルケの中にある皇菫派的なものは味のよい蜜には違いないが、リルケの本質はわれわれを死と馴れっこにしてしまう微量の毒薬であり、それを大量に服用することは危険きわまりない。
    <福永武彦>
〝外からの服用にあらず、自らの中の薬物〟

2008年6月3日火曜日

透かしのマーク


天使は私のすかしのマーク
    <ヘンリー・ミラー 暗い春>
〝あなたにも透かしのマークを〟

2008年6月2日月曜日

心のままに


 人間は死を思うことを忘れるべきだ。
 気まぐれに従うことはなんと楽しいことだろう。
 王冠を貴方の頭にのせて、 
 柔らかな薄い麻の衣をまとい、
 人生の幕を降ろすことを学ぶのだ。
 貴方の心のままに、
 楽しい日々を祝い、
 思いわずらうことは何もないのだ。
 人は去ってゆく時は、
 何も手に携えることはできないそうだ。
 そこにゆく者はもう二度と帰らない。
    <アブデル・カデル・ハテム>
〝人生は果てしない青空・・・、か〟

2008年6月1日日曜日

Good-Bye


 Good-bye, my happiness, my life, everything that exists for me on earth!
    <Napoleon Bonaparte >
〝The most important thing in life? I'll tell you when you wake up, and if you don't wake up, you don't need to know. 〟