2008年12月18日木曜日

ロマンティック


 ナチの跳梁に悩まされぬいた中欧の戦中派の人びとにすれば、それに有効に抵抗し反撃できなかった自分たちの無力の根源を求めてゆくと、自分の中の政治を 蔑視し精神的なものをそれから超越したところに求めるロマンティックな体質につきあたったという事情もあって、中欧、ことにドイツ、オーストリアの芸術家 やインテリたちの間には、「ロマンティック」という言葉に、許しがたく非時代的なもの、致命的に季節外れなものをききとるという気風があり、何かを誰かを ロマンティックと呼ぶことは、ほとんど救いようのない病気に冒されたものとか人間を指すとでもいった響きをもつ時期があった。
    <吉田秀和>
〝それでも歴史はロマンティックな宵の道案内人たらんとする〟

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