
アメリカのオバマ新大統領は就任演説で「大きな政府か小さな政府かは問題なのではない、市場が有効か有害かも問題なのではない、それが豊かな社会を作るかどうかが問題なのだ」と語った。
アメリカの新時代の代表が個人と国家の間にある「社会」に重点を置きはじめたことに、注目すべきだ。
私は人間の幸福はデジタルな論理からは生まれないと思い直している。
マーケットメカニズムや金融工学のように体系化でき、全てが論理的に説明できる方法論からは、こぼれ落ちてしまうものがあまりにも多い。
そのなかで一番大きな欠落は、社会へのまなざしだった。
構造改革論者の急先鋒であった私の懺悔すべき点は、「社会」へのまなざしを欠いていたことに尽きる。
<中谷巌、2009・3文藝春秋>
〝無責任な、あまりに無責任な。非人間的な、あまりに非人間的な。〟