
脳にはいくつかの特徴があって、一つは合目的的な行動をする、ということです。それから意識というものを持ちます。さらにもう一つ、脳が持っている大きな作用で私が非常に重要だと思っているのが、「現実とは何かということを決めてしまう性質」です。
その場合の現実とは何かといえば、人間が何かをするときに影響を与えてくるものすべてを言います。
なぜそれが重要かというと、そのことが「現実は人によって違う」ことを意味するからです。つまり、脳が現実を決定するということは、人によって現実は違うのだということを意味しています。
<養老孟司>
〝人とはそもそも意識の作り上げる帰納法的推断の収斂にすぎない、しかし身体は与件としての存在そのものである、だが人は永劫に身体を理解できない、なぜなら古に意識は身体から双曲線を描いて旅立った者ゆえ、劫初は身体の門衛に過ぎなかったのだが〟