2008年10月31日金曜日

セントラルパーク


 マンハッタンの5番街沿いの超高級住宅地に面するセントラルパークでは、日中、乳母車を押す看護婦に混じって、白いユニフォームを着た看護人に連れられて散歩にくる老人たちが見られます。
 これらの人たちは、自分のマンションに住み、個人で(または子供たちが)看護人を雇うことができる恵まれた人たちです。
〝いままで強いアメリカをあなたの資力で支援してきたのです。〟

平和


 平和とはけだし、人間同士の生来の敵意が、戦争のするがごとく破壊によって表現される代わりに、創造によって表明される事態である。
    <ポール・ヴァレリー、私のみるところ>
〝否、平和とはみなの五感が満ち足りた状態である〟

2008年10月30日木曜日

自分一流


 一つ出たらめをいってみるがいい。自分一流の出たらめをいってみるがいい。
 そしたら、僕はそいつを接吻してやる。
 自己一流の出たらめを言うのは、人真似で一つ覚えの真理を語るより、ほとんどましなぐらいです。
 第一の場合には人間だが、第二の場合には、たかだか小鳥に過ぎない!
    <ドストエフスキー、罪と罰>
〝飛ぶことを夢見ないではいれない〟

2008年10月29日水曜日

契約


 われわれは契約のために平等の条件を明らかにしよう。
    <ヴェルギリウス、アエネアス>
〝西欧思想の萌芽だが契約思想は存在自体を掬い取れない〟

2008年10月28日火曜日

ルノワール


 絵画とは、描くことも見ることも、喜びであるべきだ。
 世の中に醜いものが満ちているのに、画家が、さらに醜いものを付け加える必要がどこにある?
 ルノワールは、世界を「バラ色」に見た。
 悲しげな絵を描かなかった唯一の大芸術家だ。
〝人は多様性をもとめる〟

2008年10月27日月曜日

自由


 自分の自由の放棄は、人間の資格、人間の諸権利、更に、人間の義務の放棄である。
 すべてを放棄したものに、いかなる補償もありえない。
 自分の意思からあらゆる自由を奪うのは、自分の行為からあらゆる道徳性を奪うことである。
    <ジャン・ジャック・ルソー>
〝人のいう自由とは何ぞや、現象としての脳化学作用か〟

2008年10月26日日曜日

永遠協奏曲



  流れる川はふしぎに心を酔わせる。
 その面を見凝めていると、現象世界のさまざまな心労がとろとろと溶けて消える。
 おそらく大河こそは、自然そのもので充足 している芸術品なのだろう。
 杳かを見渡すと、風はひょうびょうと吹きわたり、永遠の相が微かに霞に溶けてかいまみられる。
 だが、一歩目を身近に落としちょ うちょうとさざめき流れる水の分子を見ると、そこには現象界そのものを生き写した時間の鏡がゆらゆらとうごめいている。
 
 大河こそは、人間の二元性(永遠と時間)のあこがれる止揚された状態を示している唯一の実在だ。
 その絶えることのない流れは斯う教えている。
 わたしは時間そのものである。
 しかも、あなたたちの瞳からみると、紛うことのない永遠と映る時間そのものである。
 このように、やわらかい思慮で大河は話しかける。
 
 わたしの住む街の中にも、大河がよぎりそのあまりの広さに思案げな橋梁が向こう岸へ手を伸ばしている。
 早朝のかわたれ時には、そのうすねずみ色の影を水面に落として、早番の勤め人が、自転車をころがし、霞のように去る。
 のどかな田舎のしあわせがそこにある。
 
 ああ、わたしも大河のようにゆったりと流れたい。
 それが叶わぬ望みなら、水面をくぐる魚となって、
 永遠の大河と友の契りを結びたい。
〝Kbefore197310ongakunotomo〟

2008年10月25日土曜日

阿呆権


 人間は、自分が正当な権利として要求する各種の権利の中に、阿呆であるという権利があるのを忘れてしまっている。
    <ジョルジュ・バタイユ、内的体験>
〝否、例外あり。当代の政治家を見よ!〟 

2008年10月24日金曜日

一片の葉


 人間は老いて、しぼんでしまったのではないか。
 ひとひらの落ち葉のように、もとの幹に帰るすべもなく、風のままに飛びめぐり、やがては砂に埋まって朽ちてゆくだけではないか。
    <ヘルダーリン、ヒュペーリオン>
〝落葉人の哀切〟

2008年10月23日木曜日

不可逆の憂鬱


 ぼくの憂鬱は、画のなかの彼女がいつまでも昔のままなのに、本物の彼女は経った年月の分だけ年をとってしまったはずで、もう取返しようがないということである。それを思うたびに、あの別離の苦悩がまざまざと甦り、弛緩した涙腺から、わけもなく涙があふれ出す。
    <阿部公房、箱男>
〝用意された未来〟

2008年10月22日水曜日

進化


 私は、自分の前に人びとがいたということを知ることさえ望まない。
    <デカルト>
〝残像〟

2008年10月21日火曜日

ニーチェの真実


 滑稽なのは、私たちの中で一番のはしゃぎ屋であるオーフェルベックとニーチェの二人が、劇しい厭世主義者でショーペンハウエル派だとしてドイツ全国に知れわたっていることです。
    <ニーチェについて、エリザベト・ニーチェ>
〝笑いは至高の虚無〟

2008年10月20日月曜日


 男が眠っている。東横線の車中。髪のうすくなった頭を、車窓にあずけながら、軽く目を瞑って、年配の男が眠っている。髪はかすかに波打ち、額のあたりで、乱れ、この男が何かに疲れているようすをよくあらわしている。ときどき、眠ったまま、頭を左右にゆすっている、ほとんど無意識でそうしているようである。顔にくらべるとやや大きめで横に張り出した耳は、完全にふさがれて、何物も聞きたくないかのように見える。
〝K062692〟

2008年10月19日日曜日

物を見る眼


 僕が志賀直哉という人を偉いと思うのは、あの人の一種の原始性なんですよ。
 観念的なものに惑わされないで、物をじかに見る眼です。
 すぐれた画家が持っているような眼なんです。
    <小林秀雄>
〝観念の衣裳を脱ぎさろう〟

2008年10月18日土曜日

安楽死


 夫の臨終を見つめながら妻が医師に語る。
 「彼が一人で旅にでるのは、これが初めてなの」
 遺書に「妻に体を洗ってもらった時、彼女が疲れきっているのを知った」とあった。
 夫が安楽死を選んだのは妻への思いやりからだった。
    <日本経済新聞、1994年11月18日>
〝万物の異なるところのものは生なり、同じきところのものは死なり (楊朱)〟

2008年10月17日金曜日

内的音楽


 あらゆる芸術形式の中で音楽にまさるものを私は知らない。
 とすれば、私は、せめて内部の音楽を言葉に翻訳することで、文学を自分の仕事として選んだと言えるかもしれない。
    <福永武彦、国文学1983.7>
〝非生産という極致〟

2008年10月16日木曜日

エトルスク文明


 ああ古のヴェーヨよ!
 その昔、ローマと激しく覇権を争ったヴェーヨよ。
 汝もかっては、広場(フォルム)に輝く王座のすえられし王国でありしに。
 いまは汝をとりまく城壁の中では、牧人の角笛がやるせなげに鳴り渡り、野原と化せる墓所を魅するのみ。
    <プロペルティウス、アウグストォス時代の詩人>
〝ああアメリカよ!〟

2008年10月15日水曜日

喜び


 もし喜びを捜しに行くなら、まず喜びをたくわえることである。
 希望というものは、希望する理由を生み出す。
    <アラン、幸福論>
〝あなたは永遠の旅人〟

2008年10月14日火曜日

南米コロンビア


 バルコニーからは、アンデス山峰の花畑を見渡すことができる。
 目の下に棚で囲ったペット用のリャマのいる子供の遊び場がある。

 メジシンはアンティオキア山岳地帯の首都である。
 ユダヤ人が建設してから何世紀ものあいだ、一種の鎖国政策を実施していた。

 遠くに穀物の袋と薪を積んだ馬を引く農夫たちの姿が見える。
 その右側にはバナナの木がうっそうと生え、石塀が高く巡らしてある。

〝見果てぬ夢〟
 

2008年10月13日月曜日

観念の詐術


 僕は誰よりも見、愛し、かつ理解した。
 それだけは、苦しみを感じたうちにも僕は満足である。
    <芥川龍之介、ある旧友への手紙>
〝幸福な家庭はみな似ているが、不幸な家庭は不幸のさまがそれぞれ違う(アンナ・カレーニナ)〟

2008年10月12日日曜日

庶民


 神聖とか、栄光とか、犠牲とかいった言葉や空虚な言いまわしを聞くと、ぼくはきまってまごつくのだ。
 ぼくは、神聖なんてものを見たことがなく、栄光を持つといわれているものに栄光なんぞありはしなかったし、犠牲とはシカゴの屠殺場みたいなものだった。ただ、肉をとらず、埋めてしまうところが違うだけの話だ。
    <大恐慌時代のアメリカ>
〝これから〟

2008年10月11日土曜日

アメリカ


 ローマが柱廊だけ残して忘れ去られたように、われわれも、フットボール・スタジアムだけ残して消え去ってよいものであろうか。
    <ニューヨークタイムズ、1992年7月9日>
〝16年後の真実〟

2008年10月10日金曜日

What


What is the future?
What is the past?
What are we?
What magic liquid is it that shuts us in, and hides from us the things that we ought most to know?
we move and live and die in the midst of miracles.
    <Napoleon Bonaparte>
〝Absolutely no answer.〟

2008年10月9日木曜日

意識のデッサン


 美しいと思うかい?
 でも君は、あれを描けばもっとずっと美しいと思うだろうよ。
 デッサン、それは知識の鍵だからね。
    <オーギュスト・ロダン>

2008年10月8日水曜日

事実の崩壊


 実際に、人間にとって客観的事実は、個々人が作り出す観念やそれが彼に持つ意味よりも重要でない。
〝共通言語を失い沈黙する社会〟

2008年10月7日火曜日

ジョイ


 彼女の大好きな香水〝ジョイ〟の匂いが部屋にたちこめていた。
    <Vivien Leigh>
〝FIN de la vie〟

2008年10月5日日曜日

個とは


 比丘たちよ、たとえば、二つの木は、たがいに相摩擦して、煙を生じ、火を生じる。
 しかるに、その二つの木が、相離るれば、それによって生じたその煙はやみ、その火は消える。
    <阿含経典>
〝生命の本質〟

2008年10月4日土曜日

統治


 トトメス3世はBC1482年に王位に復帰すると直ちに遠征軍を組織し、東はEuphratesを越え、北はHittite帝国の境界線まで領土を拡大した。
 彼は、こうして征服した属地を、信頼のおける local princes に委任して統治した。
 それでも彼は、これらの local princes  に全幅の信頼を置かず、帝国の忠臣により構成される special envoys を送り監視した。
 このようにして、トトメス三世のエジプト帝国は圧巻の国家体制を築くことに成功し、いよいよ遠隔地との接触が深まり、交易が栄え、エジプトの富を増していった。
〝適度の地方分権〟
 

2008年10月3日金曜日


 我々には芸術があり科学があり哲学があるから、教会は必要でない。
 だが、民衆にとっては寺院は彼らの文学であり科学であり芸術なのだ。
    <E・ ルナン>
〝目糞〟

2008年10月2日木曜日

官能


 官能、それは存在するものすべての中にふり注がれた歓喜である。
 それは木々の葉の色彩の中にも、空の風合いの中にも、静寂の中にも、至る所にある。
 私にとっては年とともに愛の官能は衰えたが、森羅万象の中にある官能は尽きることのない幸福である。
    <オーギュスト・ロダン>
〝万物の営みというもの、誰がため?〟

2008年10月1日水曜日

演劇


 恍惚または法悦の状態に到達するには、人間存在一般を演劇化するほかはない。
    <ジョルジュ・バタイユ、内的体験>
〝狭義すぎる。自然は演劇〟