2009年9月8日火曜日

形象


 私が描いたのは人間ではない。私はある出来事を物語ったのです。そこにあるものは一聯の形象です。それだけです。
 人が写真を撮るのは、ものを意味の外に追い払うためなのです。私の書く物語は、一種肉眼を閉じることです。
    <カフカ、カフカとの対話(G.ヤノーホ)>
〝人間は時間の流れから形象を掬い取り、物語って見せることはできない。形象は人の心に芽吹いたその瞬間に輪郭線を失い、闇夜の海に遠ざかる。肉眼を閉じようが閉じまいが、形象は人の想う形象としては存在しない。カフカは形象の残骸らしきものをみなに見せたかったのだ。〟

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