
血の色の赤ワインが好きだ。
とろけるような、あの味が好きだ。
呑みはじめて、暫くすると、内部から、そろりそろりと弾けるように酔いがまわりはじめる。
身体が軽くなり、それとともに、ほんのりと熱くなる。
熟成した思想の語りかけを聞いているような気分になる。
満ち足りて、至上と思える時の只中にいる面持ちになる。
“ あの柔らかい光 ” のもつ輝きと同じように。
柔らかい光は、赤ワインと同じ酔いを私にもたらす。
何故、こうしたものが、この地上にあるのかといぶかる。
至福の時をもたらす、得もいわれぬ存在がこの地上にあることが、
不思議な気分に私を誘いこむ。
だが、いつの日まで、この柔らかい光の照りかえしを浴びて生きていけるのか。
瞬間の彼方にあるものを想うと、悲しく、憂鬱になる。
〝K90Ap21〟
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