2008年7月7日月曜日

色を殺す


 文明が進むにつれて色はだいたい混色してくる。
 ヨーロッパのネクタイでも自動車でも、色が非常にシックで綺麗だが、これは色の中に毒を入れるから綺麗なんですね。
 着る物の色にしても、赤い色を作るときに緑を入れる。
 つまり、全く補色関係の色を入れ、色を殺すわけです。
 これが文明なんですね。
 そうすると、得もいわれぬ調和のある、快い、品のある色になる。
 その上になおかつ調子というものが整ってくる。
 そこへ形というものが入って、それをいろいろ展開して立体に持っていったりするわけだけれども、
 そういう人間の智慧、知性、そういったものがどんどん作り出して行く社会を見て、
 これでいいのか、というのが僕の意見なんですよ。
 却って極彩色の、たとえばインドネシアとかバリ島のガムランとかの、
 赤は赤、緑は緑だという原始性の中に、近代文明では解決できないエネルギーがあるのではないか、 という気がしているんですよ。
    <絹谷幸二>
〝人間か人か〟

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