2009年1月5日月曜日

くり返し


 ぼくはいつもあの子とバッハを聴く。
 ひとつの旋律が、くり返しくり返し、岸辺を洗う波のようにやってくる中で、ぼくはあの子を眺め、あの子の小さな胸の中の心配事をきく。
 そうしていると、ぼくは、次弟次弟に、時間とはただくり返しなのだということが信じられてくる。
 ぼくには過去などありはしない、ぼくに未来がないのと同じようにってね。
    <われら戦友たち、文芸春秋>
〝永遠の汀にあるのは岸辺を洗う波の音のみ〟

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