2009年10月23日金曜日

深淵


 立っていられないほど恐ろしいが、やはりのぞき込まずにはいられない深淵が、日常何気なく使っている言葉のすぐ横にある。言葉を使うということは、すなわち、深い落ち込みの縁をぐるりと回って生きるということである。
    <茂木健一郎、脳のなかの文学>
〝その通り。言葉は崖の縁にあって常にその深淵を感じさせる。その深淵とは言葉が絶対に立ち入ることのできない深い裂け目のことだ。言葉は暗く深い意識の淀みが絶えまなく言葉の根元を侵食し洗い流していることを知っている。〟

0 件のコメント: